16歳の女の子早苗は暑い夏の夜、なかなか寝付かれなかった。ベッドの中で色々な思いが交錯して寝返りを打っていたのである。
「私はどんな人と初体験をするのだろう、女としてどんな人生を歩むのだろう」
こんな事ばかり考えていた。
「同級生の健太だろうか。それとも小学生の頃、私をものすごく可愛がってくれた中村幸彦さんだろうか」
早苗は好きな男性が二人いたのである。
「一人は同級生の健太、もう一人は7歳年上の中村幸彦だった」
早苗と健太は幼稚園の頃からずっと一緒で気心が知れていた。中村幸彦は小学校の先輩で
早苗に英語を良く教えてくれていて、早苗は淡い恋心を抱いていたのである。
「同級生の中にはすでに初体験を済ませた人がかなりいる。私はまだ男性と接触した事がない」
これは早苗にとって品行方正の証明でもあり、残念な事でもあった。
「相反する二つの心」
これが早苗の心に渦巻いていたのだった。
「はやく初体験を済ませたい」
夏が一日一日と過ぎてゆく時、早苗の気持は初体験を早く済ます方向へと傾いて行った。
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