「悪い思い出は捨て去ろう。良い思い出を自分で作るのに限る」
こう思った早苗はある日同級生の健太に、
「私を抱きしめて・・・・・・・・・」
と迫ったのだった。
早苗は自分の気持を健太はしっかりと受け止めてくれると思ったのだ。だが、
「いきなりそんな事を言われても・・・・・・・」
こう言って、怪訝そうな顔をして早苗を見たのである。
「私の気持を分からないの」
「分からなくもないが」
「だったら抱きしめて」
「いきなりそんな事言われても」
押し問答が続いた。
どれくらいの時間が経過したろうか。
「これは駄目だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
早苗は自分の健太への思いが空回りしている事に気づいた。
「もういい・・・・・・・」
力なく自分に言い聞かすようにこう言って、早苗は健太に背を向けて歩き出したのである。
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