2010年8月20日金曜日

小説 女の子が必ず通る道 第3回 8月20日

 早苗は先輩の中村幸彦がギターの弾き語りで演奏してくれる、
「昭和四十年代のフォークソング」
 に酔いしれていた。
「真夜中のギター、悲しくてやりきれない、風、花嫁、・・・・・・」
 昔の歌だが、早苗にとってはなぜか新鮮に感じられるのだった。
「すばらしい・・」
 早苗がこう言うと、突然中村幸彦は早苗を抱きしめ頬ずりをしたのである。
「有無を言わさぬ強い力で早苗を抱きしめ、中村は自分の頬を早苗の頬にくっつけたのだった」
 早苗は、ある程度は予期していた事とは言え、
「やはり未知なる世界」
 の出来事だった。
その日、早苗は体の振るえが止まらないでいた。だが、
「何かしら得体の知れない快感」
 に酔いしれたのである。
「これは何なんだ」
 自問自答したが、結論がでるはずもなかった。
色々な思いが自分の頭の中に浮かんできたが、
「今日のこと以上の事」
 を期待している自分をそこに見出した時早苗は、
「自分に対しての驚き」
 を自覚したのである。 

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